春です
お塩です
早いもので入社から9ヵ月が経ちましたが、どの作業も慣れてくるなんてことはなく、ちまちま作業速度を上げるために作業用のテンプレートを作ったり自分用にメモを書き留めたりしています。
弊社では設計、デザインともにAdobe XDを使用することが多いのですが、機能面で痒いところに手が届かない場面や、所々挙動が怪しい場面があり、累計で結構な作業時間を浪費しているように思います。
今回はAdobe XDでの生産性を上げるために、現状の不満点について改善できないか調べて試してみました。
自分が作業をする上で不便に感じるポイントはいくつかありますが、
・片手で押せないショートカットがある
・アートボードとサイドメニューバーを行き来する頻度が高い
特に気になる要素はこの2点です。
今回は前者の不満点にフォーカスし、AutoHotkeyというソフトウェアを使用して、既存のショートカットを自分に合わせたものに変更していきます。
MacOSであれば、XD内のショートカットを自由に選択できる機能があるようですが、Windowsには存在しないため、自由度は低いです。そもそも同じAdobe製品であるPhotoshopやIllustratorと違ってショートカット設定機能が存在しないことが元凶なのでどうにかなりませんか。
AutoHotkeyとは?
AutoHotkeyは、Windows用の無料のオープンソースソフトウェアで、ショートカットを置換したり、操作を記録して自動化することができる所謂マクロツールです。
また、スクリプトを記述することで、操作の記録を行うよりも複雑で高精度な自動化を実現することができます。
1.AutoHotKeyの導入
ショートカットの置き換えにあたって、まずはAutoHotKeyを導入していきます。
・AutoHotKeyのインストール
公式サイトのDownload よりインストーラーをダウンロードし、インストールを行います。
AutoHotKeyがインストールされており、後述するスクリプトファイルを実行することで操作の記録、再現やショートカットの置き換えなどを実現することができます。
2.スクリプトファイル作成
まず、テキストやメモ帳を開き、Adobe XDがアクティブになっている場合のみマクロを適用するよう下記の設定を記載します。
#IfWinActive, ahk_class ApplicationFrameWindow, Adobe XD
上記は次の#IfWinActiveまで処理を有効にする設定です。続いて最下段に下記を記載します。
この文の間に実行したい処理を記載していきます。
#IfWinActive
その後、拡張子を.ahkに書き換えることでAutoHotKeyで実行することができるようになります。
AutoHotKeyのスクリプトの書き方についてはWikiに記載があります。
色々試してみたい人はWikiを参照してみてください
3.ショートカットの置き換え
実際にキーボードショートカットを置き換えるための処理を記載していきます。
・レイヤー、 コンポーネント、 プラグインの切り替え
冒頭で挙げた不満点であり、ショートカット設定について調べるきっかけになった操作がこちらです。
各機能のショートカットは下記となります。
- レイヤー一覧の表示:Ctrl+Y
- コンポーネント一覧の表示:Ctrl+Shift+Y
- プラグイン一覧の表示:Ctrl+Shift+P
Ctrl+Y これは片手で無理なく押せる範囲だと思います。
Ctrl+Shift+Y これも押しにくいですが許容範囲だと思います。
Ctrl+Shift+P どう頑張っても片手で押すことができません。
これをスムーズに切り替えることができるようにしたいので、下記のショートカットに置き換えていきたいと思います。
- レイヤー一覧の表示:Ctrl+1
- コンポーネント一覧の表示:Ctrl+2
- プラグイン一覧の表示:Ctrl+3
先ほど作成したスクリプトファイルに下記の記述を追加します。
; Ctrl+1でCtrl+Yを実行(レイヤー表示)
^1::
Send, ^y
return
これはctrl+1を押した場合 ctrl+Yをsendするという内容の処理になります。
同様にコンポーネント表示、プラグイン表示のショートカット置き換え処理も追記します。
; Ctrl+2でCtrl+Shift+Yを実行(コンポーネント表示)
^2::
Send, ^+Y
return
; Ctrl+3でCtrl+Shift+Pを発動(プラグイン表示)
^3::
Send, ^+P
return
記載が完了したら、ファイルを保存してスクリプトファイルの作成は完了です。
最終的にこんな感じになりました。
4.スクリプトファイルの実行
スクリプトファイルの作成が完了したら、これをダブルクリックして実行します。
これでAdobe XDがアクティブとなっている間は各ショートカットを任意のショートカットに置き換えることができるようになりました。
AutoHotKeyのマクロ設定を有効にするためには、作成したスクリプトファイルを実行している必要がありますが、これはPCを再起動してしまうと再度実行する必要がありますので、常時有効にしたい場合は適宜スタートアップに設定してください。
あとがき
可能であればオブジェクト操作周りのショートカットなどを主に設定したかったのですが、そもそもXDはショートカットが割り振られていない機能が多いため、置き換えで解決できない場合が多いです。こういった部分については画像認識系のマクロツールで実現できるのかもしれませんが、機会があれば試してみようと思います。
以上、AutoHotkeyを使用してAdobe XDのキーボードショートカットを置き換える方法についてご紹介しました。こういったツールを活用することで、作業効率を高め、ストレスの少ない作業環境を実現してみてはいかがでしょうか。