「illustratorの入稿データ作成方法」と「どうしてそうするの?」印刷の知識もついでに深堀り!

こんにちは。ワーママデザイナーのYUKIです。

今はWEB系のデザインをメインで担当している為、めっきり印刷物の仕事が少なくなってしまいました。

かつてはアミューズメントマシンの制作に携わるデザイナーをしていたことから、
・大きさ:名刺大の小さいもの ~ 3メートル以上の大きいもの
・形 状:ポスターなどの平面的なもの ~ ポップ類や成形物などの立体的なもの
・素 材:「紙」「布」「プラスチック」等など

色々なタイプの印刷物のデザインに携わった経験があります。

STRIXでも数は少ないですが、ポスターやチラシ制作など印刷物の仕事に携わることがあります。
たまに担当すると「あ。ここ気をつけなきゃいけないのに忘れてた~。」なんてこともしばしば(苦笑)

今回は自身の備忘録の意味も含めて、入稿データの作成方法と、どうしてその様な方法でデータを作成する必要があるかの理由を深堀りして書きたいと思います。

カラーモードをCMYKにする

まず、IllustratorのドキュメントのカラーモードをCMYKにします。

ファイル > ドキュメントのカラーモード > CMYKカラー

WEBやアプリなどモニター上で閲覧するデータはカラーモードを「RGB」にしますが、印刷物は「CMYK」を使います。

RGBとCMYKの違いとは

RGBとは

光の三原色のことで、「Red(赤)」「Green(緑)」「Blue(青)」のそれぞれの頭文字をとっています。この3色は混ぜるほど明るい色になり、白に近づいていきます。

CMYKとは

CMYKとは、色料の三原色+黒のことです。
「Cyan(シアン)」「Magenta(マゼンタ)」「Yellow(黄)」「Key plate(黒)」のそれぞれの頭文字をとっています。シアン、マゼンダ、イエローの3色は混ぜるほど暗い色になり、黒に近づいていきます。

RGBと CMYK の違い、特色印刷につて

RGBとCMYKでは再現できる色の範囲が違います。RGBの方が再現できる幅が広いくCMYKの方が狭いため、 RGBで表現できる鮮やかで発色の良い色をCMYKに変換すると発色が悪く、くすんだ色合いになってしまうことが多々あります。

印刷物でもどうしても鮮やかな色で印刷したいという時は、特色印刷で再現することもできます。
特色印刷とは、「CMYK」の4色の通常のインクで再現できない色を表現するために特別に調合した「特色インキ」を使用する印刷のことです。特色インキを使用すると、金・銀・蛍光色なども表現することができます。

トンボ(トリムマーク)を作成する

トンボ(トリムマーク)の作成の仕方

①仕上がり線のオブジェクトを選択
オブジェクト>トリムマークを作成

トンボ(トリムマーク)とは?

トンボとは、印刷物の断裁位置を明確にするための「しるし」のことです。
また、CMYKの4色を1枚の紙に重ねて印刷する際にトンボはその基準線となる為、印刷ズレのチェック機能も兼ねています。

トリムマークとは、Adobe illustratorでのトンボの呼び名になります。

塗り足しを設ける

塗り足しとは?

塗り足しとは、仕上がりのサイズよりも外にある、裁ち落とされる部分のことをいいます。

フチなし印刷の場合で仕上がり線いっぱいまで色がのる場合は、3mmほど外側に色や写真の範囲を広げておく必要があります。

塗り足しを作成することにより、断裁の際にズレが生じても用紙の色が出ないですみます

また断裁のズレが内側になることもあるため、
切れると困るテキストやデザインなどは、仕上がり線から内側3mm以内に配置します。

アビアランスを分割する

ドロップシャドウ・透明・乗算 ・変形・ワープなどの効果を使用したオブジェクトがある場合は、「アピアランスの分割」を行いましょう

効果を使用して作成したオブジェクトは見た目は変化していますが、後から数値を変更することも可能で、実際のオブジェクトの形状に変化が適応されていない状態だからです。アピアランスを分割させて効果の形状を確定させましょう。

①オブジェクトを選択
オブジェクト>アピアランスを分割

テキストをアウトライン化する

デザインの制作環境によりインストールされているフォントは様々です。ほかのPCでデータを開いたときに、別のフォントに置き換わってしまうのを防ぐために、必ずテキストをアウトライン化しましょう。

①テキストを選択
書式>アウトラインを作成

画像を挿入する場合

解像度

解像度は、基本は350dpiです。
背景前面に挿入する場合は、仕上がりサイズにプラスして塗り足し分も加味したサイズで作成します。

どうしても画像解像度が足りない場合は、dpiをさげて使用する場合もありますが(汗)
当然仕上がり状態が劣化してしまうので、ご注意ください。

保存形式

印刷会社さんによっては他の形式でも可能な場合もありますが、
Photoshop EPS や PSD が 最も一般的な形式です。

EPS 形式は、古くから採用されている印刷入稿用のファイルフォーマットです。
あらゆる印刷所の出力機が対応していた為、一昔前はほぼ必ずEPS形式で画像を保存していました。
最近はPSD形式に対応できる出力機が一般化された為、PSD入稿も可能となりました。

画像リンク

画像は埋め込みせずにリンク配置での入稿が一般的です。
リンク切れを防ぐために作成した入稿用の画像は aiデータと同じフォルダに入れておくか、
別フォルダに入れる場合は、フォルダ名や階層が変わらないように注意しましょう。

データのレイヤー構成

最後に、入稿データのレイヤー構成ですが、

  1. デザイン
  2. トンボ(トリムマーク)
  3. 仕上がり線

の3レイヤーにします。

デザインは1つのレイヤーにまとめます

仕上がり線も忘れずにいれましょう。
印刷物の形状は、必ずしも4角とはかぎりません
上の画像のように四隅が角丸の場合もありますし、カレンダーなどの場合はリングを通す四角い穴が必要となるでしょう。トンボだけではその情報は伝わりません。
また、仕上がり線は印刷されないようにガイドで作成しましょう

最後に

記載した入稿データ作成方法は基本的なものとなりますが、ネット印刷などでは印刷会社ごとに細かいフォーマットが指定されている場合が多々あります。

必ず印刷する印刷会社の指定フォーマットを確認してデータを作成してください。

webデザインの仕事も楽しいですが、私は実際に「物」が手元に出来上がってくる印刷の仕事も好きです。

特色印刷のことに少し触れましたが、その他に紙(素材)に拘ったり、特殊加工を加えたり、印刷でできることはまだまだ沢山あります。特殊印刷のサンプルは見てるだけでワクワクします♪♪

機会がありましたら、そちらを深堀りした記事も書いてみたいと思います。

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