デジタル・コラージュを始めよう(の会) ~Part 3-2 : ゴリゴリ合成タイム その2「助演編」~

今になってThe Beatles熱が再び燃え上がってきたイツキです。

つい先日、The Beatles(以下、ビートルズ)が27年ぶりに最後の新曲として ”Now And Then” をリリースしましたね…!

The Beatles – Now And Then (Official Music Video)

この曲は元々、1970年代後半にジョンが自宅でピアノを弾きながら家庭用カセット・テープ・レコーダーでデモ・レコーディングしたものであったが、1980年にジョンが急死してしまったため未完成となってしまった曲でした。後に1994年頃、他メンバー3人が完成させようと制作に取り掛かるも当時の技術ではデモ音源に入っている雑音が取り除けず、作業は断念される形になってしまいました。
しかし昨年から今年にかけて、ポールがこの曲を完成させたいと考えていると公言し、元々モノラル録音されていた音声をステレオ化するために開発・使用された「デミックス」と呼ばれるAI技術を用いて、本曲を完成させたのです!

ここからは個人的な感想になりますが、”Now And Then” はビートルズの新しい試み!というよりかは本来のビートルズらしさを感じられる部分もありつつ、やはり新曲の魅力的なワクワク感があって最&高でした。ビートルズの強みはバンドが全盛期の時から変わらず、常に新しい何かを探し続ける姿勢やそれを表現するスキルにあると思ってます。
そんなビートルズだからこそ、ジョンが亡くなってしまった今でも新曲を発表できるのでしょう。良い意味で自分たちの位置付けにこだわりがなく、常に変化を取り入れ停滞を嫌うその姿勢は学ぶべきことが多くある気がしてます…。音楽史上最も売れたアーティストはレベルが違いますね…。

君は『引力』を信じるか?人と音楽の間には『引力』があるということを…

さぁ今回はデジタル・コラージュを始めよう(の会)のPart3-2、ゴリゴリ合成タイム「助演編」です。
前回から少し間が空いてしまったのですが、サクッと振り返ってサクッと本編に入っていきましょう。

尚、本記事はシリーズになっていますので、前回の記事を読んでいる前提で話を進めさせていただきます。
前回の記事を読んでから本記事を読むことをオススメします。

前回の振り返り

前回はメインとなる月を用いた気球船をコラージュで作成しました。

一旦これで前回は完成としていますが、他の要素を組み上げた際に微修正を行う可能性は大いにあります。
単体での完成度と他の要素を組み合わせた際の全体の完成度では、結構違って見えたりするので最初はこだわり過ぎず、後からでもフレキシブルに修正出来るように心がけましょう。

修正から出来る『誠のコラージュ』は…決して滅びはしない…

ゴリゴリ合成タイム その2「助演編」

今回はコラージュ全体の前景にあたる丘の上に立つ人を作っていきます!
丘の上に立つ人を作るコラージュフェーズとエフェクトフェーズに分けて作っていきたいと思います。

前景として作品全体のレイヤー感を演出するために特に色に重きをおいて調整していきます。

これは『試練』だ。コラージュに挑め  という『試練』とオレは受け取った

丘の上に立つ人を作る “コラージュフェーズ”

まずはザックリ画像をアートボード上の良い感じの位置に載せてみます。

クイック選択を用いて必要な部分だけを切り抜きます。

ですが… この辺の元の画像で人がいた部分が邪魔なので良い感じに濁しちゃいましょう。

上の突き出している所はマスクを黒で塗りつぶせばOKです。
問題は人の足ですね…。ここで新技術、ジェネレーティブAIによる生成塗りつぶしを使ってみましょう!
まず、長方形選択ツールを用いて対象位置を選択します。選択範囲が決まったら [編集]>[生成塗りつぶし]を選択します。

すると、生成塗りつぶしのウィンドウが表示され、プロンプトを打ち込めるようになります。
例えば、「ここに家を建てたい」というのがあれば「家」と打ち込めば家が生成されます。
ですが、今回は周りに合わせて人の足を塗りつぶしたいので、そういう場合は空白のまま生成を開始します。

…すごい!実はこの技術が最近リリースされるまではもっと手順を踏んで人の足を塗りつぶしていたのですが、もうこれがあればたった十数秒で事が足ります。
今回はあくまでコラージュがメインなので生成塗りつぶしの機能については省略しますが、扱えるようになれば無限のクリエイティビティを味方に出来るので是非触ってみてください。
私はバリエーションの中から一番右のこれにします。

生成塗りつぶしは別レイヤーとして生成されるので、元々の塗りつぶしたいレイヤーとスマートオブジェクトでグルーピングします。
その上でこの丘に人を立たせるとなると、月の気球船の迫力が落ちてしまうので、大きさを調整します。
一旦はこれくらいにしておきましょう。多分後で調整します。

続いて人を配置していきます。
今回使う写真はこちら。こちらを選んだ理由としてはコラージュ全体の作品として合う後ろ姿の人、そして切り抜きたい対象とその背景のコントラストが高いことの2つです。
1つ目は最重要項目ですが、2つ目は出来ればそういう画像を選んでおくと切り抜きやすいです。

クイック選択でパパッと切り抜いて、大きさを調節し、配置します。
一旦こんな感じで良いでしょう。

コラージュフェーズはここで終了。

『言葉』でなく『レイアウト』で理解できた!

より絵に馴染ませる “エフェクトフェーズ”

レイアウトは良い感じですが、このままではあまりにも浮き過ぎているので色味の調整やエフェクトなどを追加して世界観に沿った調整を行っていきます。
最初に地面の方から調整していきます。
特に制作的な理由はないですが、個人的にはリアルな雰囲気を作り出すために作品の中のリアルな時間の流れやストーリーを想像する事を大事にしていて、人や建造物、造形物よりも先に環境から作っていくことが多いです。
人から調整して欲しかった!という人には申し訳ないのですが、地面の方から調整します(キッパリ)

まず、あまりにも地面に当たる光や色が日中過ぎるので夜の雰囲気を作ります。
色味から調整するとこんな感じですかね。
[明るさ・コントラスト]で明るさを少し下げてコントラストを上げます。こんなに近くに大きな光る球体が接近したらきっと明暗は強くなると思いますからね。
[色相・彩度]でイエロー系の色のみを落とし、やや色相調整します。
[トーンカーブ]についてなんですが… 実はまだ私も理論的に理解できておらず、Adobeの解説を頼ってください…すみません…。
https://helpx.adobe.com/jp/photoshop/using/curves-adjustment.html
[自然な彩度]は好みです。個人的に好きなエフェクトなのでつい使っちゃいます。ここはあってもなくてもどちらでも良いかと思います。

夜と言っても一概に明るさを下げたり、暗くすれば良いという訳ではないのがミソで、自分が今まで出会ってきた夜の風景を思い出して近づけてみましょう。
詳しいエフェクトの調整値はこんな感じです。

まだ調整の余地はありますが、一旦人の方の色調調整に入ります。
人は既に黒いのですが、影の色が丘の影の色とあっていないので、丘の方に合わせていきます。
[明るさ・コントラスト]で完全に真っ黒にはせずに多少コントラストを残しながら影の色に近づくように調整します。
[塗りつぶしレイヤー]を作って合成モードを調整し、黒の色味を影の色に近づけます。

モニターによっては暗すぎるかもしれませんが、影はこんなものでも大丈夫です。
詳しいエフェクトの調整値はこんな感じです。

まだ人の調整は終わってません!むしろここからが大事で、光と影を付け加えていきます。
具体的には月の気球船から当たる光の表現と、人から伸びる影を作ることの2つです。
まずは人に当たる光を作っていきましょう。
切り抜いた人のレイヤーを複製し、塗りつぶしレイヤーの上に移動します。切り抜いたレイヤーをスマートオブジェクトに変換し、明るさを調整します。
その後、スマートオブジェクトに変換した人のレイヤーに黒マスクをかけ、光の当たる場所を白色のブラシで塗っていきます。

次に影を作っていきます。
影も先ほどの光を作った際同様に切り抜いた人のレイヤーを変形させて作っていきます。
Ctrl+Tで変形させ、影っぽくしたら今回は2つのレイヤーに複製し、下のレイヤーを真っ黒にして合成モードをソフトライトにし、上のレイヤーを先ほど用いた影の色で塗りつぶして不透明度を80%にしました。
こうすることによってより既に発生している影のような、完全な黒ではないちょっと青みがかった色を表現できます。

良い感じになってきましたが、こうなると丘の影の付き方が若干弱い気がするので、もう少しだけ調整します。
全体的に明るかったのでやや暗めに調整し、赤が強かったので[色相・彩度]から黄色に調整しました。
加えてもう少しコントラストが欲しかったので[露光量]で地面の明暗をハッキリさせて、人に当たってる光を白ブラシで足しました。

前景はこれで良いんじゃないでしょうか。
最後に今日作ったものをグルーピングして若干青紫を足して完成です!

今日の進捗はこんな感じになります。
ちょっとステップを踏み過ぎている可能性はありますが、これを読んでくれている皆様に少しでも知恵や技術、考え方を落とせたらと思ってのことなのでご容赦ください…。

コラージュは一つの終点に到着し『前景』を迎えたのだッ!

さいごに

今回も長くなってしまってすみません…。
作業について書き始めると中々簡潔にまとめることが出来ず、ここが折り返しであることを願いつつ、もう少しお付き合いいただけたら幸いです。
次回はゴリゴリ合成タイム その3「背景編」、ラフで言えば燃えている町を作っていこうと思います。
では、Part 3-3で会いましょう~!👋

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